同人誌の裏話

こんにちは、ふじおです。ゴールデンカムイの異母兄弟、花沢勇作×尾形百之助のやおい同人マンをやらせていただいています。今年は腰をすえて長めの漫画を描いてみようと一念発起し、なんとか仕上げて11/29に開催された黄金暗号10で頒布させていただきました。その節はありがとうございました。

 

今回は大好きな海外小説をもとにパロディをやったわけなのですが、これがどうしてなかなか大変でしたので振り返る形で記録をつけてみたいと思います。ツイートで裏話を書くにはあまりにも熱量がありすぎるかも…と思ったので。

読んでない方にはなんのこっちゃという話なのですが、独り言のようなものととらえてください。

 

 

 

 

1. アリステア・マクラウドの「島」(1988)

 

今回私がつくったのがそのままタイトルも「島」と名付けた同人誌です。

 

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ecs.toranoana.jp

 

プロットつくりが8/5、9/8に8割ペン入れが終わり、番外編のプロットを作り終わり、10月末にはとりあえず描き終わっています。そこから推敲をして11/10には入稿しているのでなかなかスピーディーに取り組んでいます。えらいぞ過去の私。

 

 

アリステア・マクラウドは大学で英文学を教えていた先生なのですが、1999年に長編「彼方なる歌に耳を澄ませよ」が母国カナダで大ベストセラーになったのをきっかけに、76年と86年に刊行された短編集に2篇を加えて、短編集ISLANDが編まれたのが2000年。

31年間にわずか16篇のみの寡作の作家なのですが、どれもこれも厳しい自然と人間の営みにそそぐ視線が美しく、素晴らしい作品ばかりです。残念ながら2014年に亡くなっているのですが私の中では1、2を争う大好きな作家です。

 

奇しくも私がアリステア・マクラウドの本を手に取ったのは彼が亡くなった2014年の秋ごろでした。新潮クレストブックスから短編集ISLANDが「灰色の輝ける贈り物」「冬の犬」の2冊に分けられて出版されています。どの話もほんとうに大好きなんですが、特に私の心をとらえてはなさなかったのが「島」というシンプルなタイトルの物語でした。

 

「島」は孤島に住む女性の生涯が淡々と描かれています。彼女のルーツ、島の成り立ち、彼女の家族たち。主人公の女性は青年と出会い、恋に落ち、妊娠するが若者は彼女のあずかり知らぬところで死ぬ(これも伝聞ゆえに真実はわからないのも残酷だと思います)。

彼女は子どもとも離れて暮らし、年老いた両親とともに灯台を管理して島で暮らす。やがて両親も亡くなり、彼女は年老いていき、いつしか島の狂女としてひとり孤独に時を過ごします。あるとき、在りし日の彼にそっくりな青年が彼女のもとを訪れ、その言葉から青年が彼女の孫であることがわかります。いつかの日に彼と約束した「一緒に暮らそう、どこか他の土地で」という言葉が反復されます。

数か月たち、ある嵐の夜に彼女は海へ出かけ、そこで青年と再会します。二人はそのまま暗い闇夜の中に消えていくのです。

 

 

亡くなった恋人が迎えに来るというロマンチックな話ですが、それにしてもあまりにも過酷ともいえますし、同時にシングルマザーのありきたりな話とも言えましょう。なのになぜこんなに心を動かされてしまうのか。

クラウドが主軸としているのはおそらく恋の話ではなくて、生き方の話なのです。

 

その土地に根差して生きること、それは幸いでもあるし不幸でもある、祝福でもあるし呪いでもある。あるいはそんな両極端な言葉では言い表せないことでもある。大事なのは選択だと私は思っています。マクラウドの小説と出会ってから2年後に私自身も三十年以上慣れ親しんだ海辺の土地から離れたこともあり、それ以来一年に数回読み直す大事な物語となりました。

 

 

2. アダプテーションなのかパロディなのか

 

はい、なんだかシリアスな話になりましたが、要は

 

この最高の話を推しカプで見てえ~!!

 

という身もふたもない欲求から構想が始まりました。すみません。

ただでさえ他人のふんどしで描いている二次創作なのにさらに推し作家のあらすじをパクるとはなんたる不敬罪か。そういうことも考えましたが、もうとりあえず形にしたいという欲求が先立ちまして…これに関しては責められてもぐうの音も出ません。

 

推しカプで見てえ~!と言いながら2年間温めてきたわけなのですが、勇尾という異母兄弟カップリングに私が勝手に求めている愛の形がぴったり物語と重なったのが大きい要点だと思います。

さて、原作小説が映画化したりアニメ化したり、はたまた舞台化したり…。これをアダプテーション(翻案)というそうです。だいすきな漫画原作が実写映画化したときの悲劇、いろいろありますよね…オタクならみんな俺と同じはずだ。

自分の長いオタク歴がどこから始まったのかと振り返ると、私はそもそもがアダプテーションオタクだったのです。そう、私は14歳で出会ったDィズニー長編アニメーション「ノートルダムの鐘」から人生がおかしくなっていった女…。※

ユゴーの原作を読んでは文学に傾倒し、はたまたミュージカル俳優にあこがれて声楽を学び、劇団〇季のオーディションを繰り返し受けるようになり、同じ原作のバレエや映画を研究するようになった人生を歩む。

 

洋画オタクだったので映画を見てから原作にあたり、一喜一憂するのを常日頃やっていたゆえに知っていたのですが、翻案はまじで難しい。もう違う人の手を介して違う媒体で表現したら、だいたいが別物になるのは当然なのです。問題はどこまでねじまげるか、どこを削除してどこを採用するか。絶対に変えたくないところはどこか。その匙加減です。

 

そもそもこの話、女性が主人公なのにヒゲの生えた男性にやらせていいんか?という素朴な疑問が…。そして何より大事なのがこの話、主人公が妊娠して子を産むということが彼女の人生においてものすごく重要な出来事なんですよ。

子どもを待ち望んでいた、子どもを心底愛していて…、女としての幸せが…、そういった情報は原作にいっっっっっさいないのですが(そこも好きです。事実としての妊娠・出産)、でも子どもを産み育てることが彼女の人生においてとても大事なことであったのがよくわかる物語なのです。

なぜかというとマクラウドは自分という人間を考えるときに、必ずその土地に住んできた祖先の存在を示唆する作家だからです。それは必ずしも血のつながりのある家族だけを指すのではありません。移民の、そして「民族」の物語でもあるからです。

でも尾形は男性だし、今の科学技術じゃ男性は妊娠できないし、この話は昭和の日本に置き換えたいし…とウンウン考えました。

 

 

 

うん、そういう世界ということにしよう(思考放棄)。

 

 

 

そんなこともあるかもしれないじゃんと。特別扱いしなくていいよと。そういう結論になりました。というのも、男性妊娠というのは二次創作同人誌においては特殊性癖のひとつとしてカウントされているようで。あまり詳しくはないのですが、どうもそうらしいです。同人における「〇〇の赤ちゃんできちゃう♡」みたいな展開、それはそれとして読むのは嫌いではないのですが、今回描きたいものとはちょっと違うかなと。

とりあえず妊娠・出産をフェティッシュなものとして描きたくないな~と思っていたので、いちおう注意書きを苦手な方のためにしたものの特に重みをもたせず、そういうこともあるよねの温度で描きました。フェティッシュなものを期待していた方には大変申し訳ない気持ちです。オメガバースや男性妊娠、書き手の倫理観・社会観・ジェンダー観が言葉ひとつとっても現れるので、難しいね。

このことは気心しれた信頼できるお友達に相談させていだたきました。いきなり男性妊娠について相談してすみません。ありがとうございました。

 

3. 久しぶりの故郷のはなし

 

私の描く私の漫画。なので、結局私の知識や技術や体験を超えるものは出てこない。つらい…。そんなわけでなけなしの脳みそをふりしぼって創作に力を注ぎます。「島」には灯台が出てくるのですが、なんということでしょう、私は灯台に行ったことがないのです。

奇しくも故郷・宮城県牡鹿半島にはなんと金華山という島があるではありませんか。そしてそこには今は使われていない白い灯台もある!!

 

地元なのに行ったことがない。なぜかというと牡鹿半島は実家のある場所から車で約60分、蛇行した海岸沿いをひたすらぐるぐる走った先にあるのです。島に行くにはさらにそこから出港している船に乗るしかない。しかも船は一日一本。よほど気合が入らない限り行けない場所でありました。

行きづらいと感じる理由はもう一つあり、それは東日本大震災の大きな被害を受けた場所でもあることです。私自身、当時もっと手前の港町で働いていたのですが震災後は軽い気持ちで海岸沿いに行けなくなりました。行きたい、見たい、と思いつつ、あえて用がない限りは行かない。第一は心理的な引け目とかではなく、単にめんどくさいからが大きな理由なのですが…。

そんなわけでなんとなくモデルはその金華山でグーグルマップなどでじろじろ見ながら想像して描きました。あとは最後に紹介する参考資料などをもとに。結局一度も現地に赴くことのないまま、原稿をかきあげたのが10月でした。しかし11月に古くからの知り合いの訃報を受けて実家に戻った際、金華山に行くことができました。

 

ちょっとその話をします。

ここは創作と直接関係ないので飛ばしていただいてけっこうです。

 

 蛇行する道をぐるぐると走ること約一時間。

石巻の空にそびえたつ製紙工場(久しぶりにみたらめちゃくちゃかっこいい)、高くなった堤防と、いまだに完全撤去されていない廃材の山を見ます。山と山の間に真新しい住宅地が点々とあります。荻浜(おぎのはま)はあちこちがまだ工事中です。九年が経ち、静かで穏やかではありますがどこもつるんとした印象です。

 

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石巻の製紙工場カッケー

 

牡鹿半島では捕鯨漁がおこなわれていて、おしかホエールランドという小ぢんまりした鯨の博物館もあります。ここは実は壊滅的被害を受けて、やっと昨年オープンしたばかりです。

くじらが好きな私、しっぽを振りながら観ました。

意外なことに金華山へ行くお客さんは多くて、予定していた船には乗れませんでした。30分後にまた出るから、といわれてその間にくじら博物館を堪能します。

 

いよいよ船に乗り、どんぶらこっこと波に揺られて20分、金華山を目指します。

 

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埠頭


けっこうゆれる。「今日波高いですか?」と船会社の人に聞くと「ぜんぜん。おだやかよ今日は」と笑われる。自分の真下に暗くて深い海があり、ここで何かがあればこんな船はあっというまにひっくりかえっちゃうんだろうな、と思いました。波はうねうね動く巨大な生き物のようです。震災から9年経ってはじめて海の上にいます。9年前に海のかなたに消えて行ってしまった人たちもたくさんいます。波の動きに翻弄されながら、私は今更ながらに畏怖の感情を覚え、同時にすこんとそういうものなんだと腑に落ちるような気持ちになりました。

 

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うみねこニャア

金華山には金運がつくといわれている黄金山神社があります。三年連続でお参りすると一生お金に困らないそうです。それから、今はここに住んでいる住民はいないのですが神社に泊まることはできるそうです。

この島全体が神域で、鹿がゆうゆうと歩いています。人より鹿が多いんですって。

 

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震災の時の金華山

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ここからつらい坂道が続く…

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おわかりいただけるだろうか

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銅像みたいな鹿

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このあと鹿に手を舐められました

 

島に降り立ってすぐ灯台に行こうとしたのですが、どうも道案内が見つからず、ものすごい坂を上がって神社についてお参りして下るころには虚弱体質の私はへろへろでした。それでもあきらめきれずにまた船のスタッフさんに「灯台があるって聞いたんですがどうやって行くんですか」と尋ねると、「神社からさらに山頂に行って、そこからかなり歩く。ふつうの人は行かないねえ。震災前は山道があったんだけど崩れちゃった」と教えてもらいました。

ですので、私の灯台訪問の夢は悲しくもここでついえてしまったのです。

おまけに海風が冷たく、坂道を歩いて汗をかき、たくさん歩いたはずなのに冷えで具合を悪くする始末…自然はひよわなオタクに厳しいのでした。

しかし行ってみたいなあと思っていた土地を訪れられてよかったです。来年も再来年も金華山神社にお参りしてしょうらいはお金持ちになりたいです(感想文)。

 

 

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犬吠埼灯台かっこい~!

灯台にいけなかったオタク、灯台ジオラマを買いました。素敵。

  

 

4. モブにはモブの人生あり

 

私は二次創作におけるモブが大好きです。

名前を与えられず、目鼻立ちも描き与えられず、コマごとに服が変わっちゃったりするモブ…(それは私が至らないせい)いつもありがとう、モブ…。

モブの言動、様相からそのキャラクターが生きる世界が肉付けされ、どのような規範意識なのかが示せるからです。往々にして主人公が世界からの疎外感を抱きがちな話を書くものですから、そういう意味でも主人公をとりまく「ふつう」の世界がどんなものか、私とあなたの違いはなにか、そういうことを構築していくのにモブはぜったい欠かせないとすら思っています。モブのいない二次創作がだめという話ではないよ!

何が言いたいかというと、便利な存在として使えるから好きなわけではなく、モブにはモブの人生があるのです。そんなに細かくいろいろ決めていなくても、この出来事はモブにとってどんな意味があるのかな~と考えて描くと楽しい気がしています。

 

 

 ここから私の本のネタバレなので読みたくない人は飛ばしてください。5の項目もほぼネタバレなので、参考資料まで飛ぶとよいと思います。

 

 

尾形とモブの男たちがセックスする場面があるのですが、これも描くのを迷いました。注意書き要素がまた増えてしまう、だけど原作においてとても大事な場面なので飛ばすわけにはいかない…。

いわゆる乱交シーンなのですが、こんなに熱い乱交シーンある???と初めて読んだときは衝撃を覚えたものです。原作において彼女は自分の手から離れてしまった代わりの子どもが欲しかった。でもそれは、ほんとのところ子どもがほしかったのではなくて、人生の分岐点、可能性がほしかったのではないかと思いました。

このまま島で一人孤独に年老いていく人生が見えてきたときに、なにかをつかみとろうとして男たちと交わった。なんてポジティブで力強い場面なんだろう、すさまじいと思いました。尾形を主人公に置き換えて描くと、隠しているセクシュアリティの発露のようにも見えて、それも意図したわけではないけれど興味深いなと思っています。

 

モブの男たちは尾形との性交をどう思ったんでしょうね。誰かにとってはもしかしたら人生の中でふとどうしているかな、と思い出す男になったかもしれません。あるいは誰かにとっては恥ずかしく忘れたい出来事に、あるいは武勇伝に、あるいはもうとっくに記憶から抹消された勘違いのようなものかもしれません。

そういうことを思いながらモブを描くと楽しいなあ。

 

 

5. 娘、そして迎えに来る男

物語の終盤、尾形に会いに来るのは勇作さんとそっくりの顔をした尾形の孫ゆういちくんです。

ここは原作をそのままなぞっています。原作での「彼」と「孫」の違いはイアリングをしているかしていないか。なので私も孫のほうにはピアスをつけさせています。

ご感想でゆういちくんは勇作さんが転生したキャラクターですね、というご意見をいただいてそれはそれで面白いかも~と思いました。実際のところ、転生うんぬんは考えておらず、孫はただの気の良い青年です。彼には彼の人生があるのであまり重いものを背負わせたくなかったのが本当のところです。実際、ちょっと気が良すぎて不気味な人間だと思いますが…。

裏設定としてはゆういちくんが13歳くらいの頃に母・留子は夫と離婚して、そのあと息子と二人で暮らしています。ゆういちくんは留子には言わないけどちょいちょいお父さんと会っています。陽キャのスポーツマンらしさを全開にしているゆういちくんですが、ああ見えてわりと繊細なところもあり、今は思うところあって都会の大学を休学して地方都市の留子のマンションに戻ってきています。ただ異様にアグレッシブで健康ではあるので2~3つアルバイトをかけもちし、人好きもするので周囲からやたらと可愛がられています。なにかあったらぽんと海外に行っちゃったり、かと思うと飽きたからと戻ってきて事業を始めたり、よくわからないままのほほんと生きていく人です。

もしかしたら似ているのは容姿だけで、あんまり勇作さんとは似ていないキャラクターかもしれません。

 

 

漫画の中で留子の名前は尾形が母から取った名前です。これはもちろんゴールデンカムイの尾形先生の作り話「トメ」から取りました。入稿後にファンブックでトメは母の名前と判明したので、ラッキーでした。

留める子どもという名前の留子さんも描いていて思い入れが深いキャラクターです。

この娘サイドの話はあとがきにも書きましたが原作には一切出てきません。原稿がひと段落した後、ある夜にふと「娘はどういう人生を歩むんだろうか」と思い立って描くことを決めました。留子さんは気がつよく、一人で何でもやってきた人だし頑固で好きになったら好き! 嫌いになったら嫌い!みたいにはっきりしている人です。ちょっと大人としてはめんどうくさい人だとも思います。二次創作やおい同人マンなので普段女性をまったく描かないのですが、留子さんは描いていてほんとうに楽しかったです。

40代半ばのちょっとめんどくさそうな女性描くの楽しい…。読んでくださる人の好意にすがるような形でしれっと収録してしまったのですが、意外と受け入れてくださる方が多いようでありがたいです。

 

尾形を迎えに来たのはどっちなの?という質問に対しては野暮を承知の上でお答えすると勇作さんです。原作でも最後に彼女を迎えに来るのはイアリングをしていない若者なので…。

ラストシーンのやりとりはそれをわかりやすくするためにセリフを付け加えたりしています。明確に勇作さんが尾形を「兄様」と呼びますしね。「こどもたち」で本島にいるゆういちくんと留子が通話をしている、その真っ最中と「島」本編のラストシーンは時間が重なります。なのでゆういちくんが島にいるわけではないのです。

しかしそのあたりも読んでいる人の解釈に委ねたいので、あくまでこれらは私がそのつもりで描いたよ~という戯言です。転生ものに見えたならそれでよいと思っていますし、最後の勇作さんもただの幻覚かもしれません。

冷静に考えて、死んだ人が迎えに来るなんてわけはないし、尾形は孤独と痴呆でおかしくなって、一人で海に飛び込んだのかもしれません。その世界ではそのように処理されることでしょう。遺体はあがるかもしれないし、あがらないかもしれない。留子はきっと数日後に連絡を受けて喪服で本島にやってくるでしょう。もしかしたら島を訪れてフクのお墓をみて、犬の名前がフクだったことを思い出すかもしれません。勇作さんと尾形の恋は誰にも知られることがないままでしょう。

あるいは、勇作さんと尾形は嵐の海を小舟で乗り越えて、どこか他の土地へ行き、違う世界で手に手を取って生きていくのかもしれません。そのあたりはいろんな解釈があってよいと思います。

 

 

6. 参考資料など

以下、イメージや参考とした作品についての紹介です

 

● アリステア・マクラウド「冬の犬」から「島」 新潮クレストブックス

冬の犬 (新潮クレスト・ブックス)

冬の犬 (新潮クレスト・ブックス)

 

 全員読んで。表題作の「冬の犬」もめちゃくちゃ好きです。

 

 

● オーラヴル・アルナルズ For Now I am Winterから Old skin

Old Skin (feat. Arnor Dan)

Old Skin (feat. Arnor Dan)

  • provided courtesy of iTunes

個人的に自分の漫画のエンディング曲。ピアノの澄み切った音とストリングスのざわつくような音が好きで、読んだ後聞いて泣いたりしてます。これ、あとで知ったんですが東日本大震災のプロジェクトで作られたんですね。その偶然にもびっくり。

 

 

● 鳩山郁子「ミカセ」から「アネモネ風速計

ミカセ [新装版]

ミカセ [新装版]

 

 少年が不思議な転校生と出会います。一定間隔で照らし出される少年の不安定な気持ち。

 

 

● 木下惠介「喜びも悲しみも幾年月」

木下惠介生誕100年 喜びも悲しみも幾歳月 [DVD]

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  • 発売日: 2012/08/29
  • メディア: DVD
 

 いわずと知れた名作。何度もリメイクされているらしいけど、昭和の家族像~!という感じです。長いけどわりと面白く観ました。

 

● ロバート・エガース 「The Light House」

The Lighthouse [Blu-ray]

The Lighthouse [Blu-ray]

  • 発売日: 2020/01/07
  • メディア: Blu-ray
 

 ホラーサスペンスです。日本未公開。今をときめくロバート・パティンソンウィレム・デフォー主演。灯台守として孤島にやってきた若い男と老いた男。若い男は次第に人魚の幻想に悩まされるようになり…。

 

● クリストファー・ニーホルム「バニシング」

バニシング(字幕版)

バニシング(字幕版)

  • 発売日: 2020/05/02
  • メディア: Prime Video
 

「フラナン諸島の謎」とされる事件を題材にしたスリラーサスペンス。ジェラルド・バトラー主演です。

 

 

● 須藤巧 写真ものがたり 昭和の暮らし〈3〉漁村と島

写真ものがたり 昭和の暮らし〈3〉漁村と島

写真ものがたり 昭和の暮らし〈3〉漁村と島

  • 作者:須藤 功
  • 発売日: 2004/12/01
  • メディア: 大型本
 

 

● 木村伊兵衛 昭和を写す〈1〉~〈4〉

 このへんは写真の資料です。昭和の暮らしの写真、とても良いですね…。

 

 

以上、同人誌の制作裏話でした。

ここまで読んでいただいてありがとうございました!